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俺達は戦争するんだ。

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俺達は戦争するんだ。強い事が一番、戦争に勝つ事を第一に編成をする、ハンベエは危ぶむモルフィネスに強く言ってのけた。しかし、腕っぷしばかりで、人間の練れていない者を上にしたら、軍紀が乱れるのではないか、とモルフィネスは尚も不安を隠さない。モルフィネス、ハンベエ相手だと何故か率直な発言をするようだ。「軍紀を乱す奴がいれば、このハンベエがすっ飛んで行って首刎ねてやるわ。」ハンベエはカラリと笑って言った。なるほど、それもそうか、とモルフィネスは自分の心配を杞憂だとアッサリと認めてしまった。ハンベエのおっかなさを知らぬ守備軍兵士はいないであろう。他の者が大将ならともかく、ハンベエが大将であれば、成り上がり成立公司士官も身を慎むであろう。そういう恐ろしさがハンベエにはある。 しかし、モルフィネスの心配も尤もな事だと思ったのか、ハンベエは守備軍兵士に訓示を行った。モルフィネスから仕入れた近衛兵団討滅時のステルポイジャン配下兵士の悪行を例に挙げ、同種類似の行為を為す者がハンベエ配下にいた場合は八つ裂きにするから、そう心得よ、と言ったのである。幸か不幸か、そのハンベエの訓示を疑う者はいなかった。ハンベエならば、配下兵士といえども容赦無く斬り捨てるに違いない、と誰もが思ったのである。軍紀は粛然とした。残るは連隊長の人選であるが、まだ決まっていない。候補者一名はドルバスがほぼ間違いないところだった。ドルバスの現在の地位は正式なものではないが、副司令官と言ったところである。司令官ハンベエに代わってというよりも、ハンベエがハナハナ山からゲッソリナに向かったしまった当初から、タゴロローム守備軍を実際に統率して来たのはドルバスなのであった。勿論、副司令官の地位を外すつもりはハンベエにはない。連隊長は兼務になるだろう。3個連隊と1個大隊、従前の守備軍規模に足らず、ステルポイジャン軍の前には大鷲と雀であったが、ハンベエは10日余りで守備軍をほぼ掌握した。守備軍編成の中で、特別な扱いを受けたのは、旧第5連隊の兵士達であった。ハンベエは彼等を他の小隊に組み込む事はせず、司令官直属の部隊とした。隊長はヘルデンであった。言ってみれば旗本、親衛隊として位置付けたのである。親衛隊長の役を与えられたヘルデンであるが、隊長の椅子の坐り心地を味わう間などハンベエは与えない。直ぐに別の任務を命じた。タゴゴダの丘を越えて、外部から騎馬の傭兵部隊を雇って来い、というのである。「できれば、三百騎。」とハンベエは言った。ヘルデンにはロキが同行する事になった。何処でどう聞き付けたのか、この少年はそういう交渉事ならオイラの出番と、心配顔のハンベエを振り切るようにヘルデンに付いて行った。ハンベエと付き合う内に感化されたのか、それとも成長期特有の冒険心の為か、どんどん大胆不敵になって行くロキである。一方のハンベエが、以前に比べると少しばかり思慮を巡らし、慎重な一面を見せ始めたというのに・・・。ヘルデンとロキが騎馬部隊募集に出掛けた翌日、イザベラからの第一報が届いた。彼女の出立から丁度6日目であった。執務室に戻り、鴉のクーちゃんをそれ用に用意した止まり木に止まらせると、ハンベエはイザベラからの手紙を読んだ。イザベラ情報に拠れば・・・。ステルポイジャン軍はバスバス平原に兵士三万人を駐屯させ、ドルドル鉱山の労働者達を厳しく監視していると有る。また、ゲッソリナからボルマンスクへの街道を遮断し、頻りに通行者の身元確認等を行っていると言う。

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